私の生まれた京都・東下桂はすぐ横に桂川が流れ、日本最高峰と言われる庭園、建築美を有する桂離宮が目の前にあり、遙かに愛宕山や比叡山を望む事が出来る風光明媚な所です。
桂川の橋のたもとに古くからある『まんじゅう屋』が生家で、幼い頃から蒸気の上がる仕事場の中で育ちました。
まんじゅうに焼き印を押すために七輪でいこしてある炭の赤さに心をうばわれ、それがジュッと音をたてると甘く香ばしい香りが一筋ゆっくりと立ち昇ります。
職人達がまかないで食べる為の沢庵が日の当たらない仕事場の隅に漬けてあり、魚の干物がじっと干されており、いつからあったのかわからないほどの古い木の扉を開けると団子にする為に河原で摘んできたヨモギが大きな樽に入っていて、そこから豊富な井戸水が溢れ出ていました。
さらに奥に進むとそこは蒸気で真っ白でした。
蒸し上がったばかりのピカピカのもち米をひとくちほおばればこの上ない味わいでした。
料理の後半にお出しする飯蒸しはここに源流があります。
私がお蕎麦に興味を持ってから知ったのですが、もともとは粉の扱いに長けた菓子屋が蕎麦を出したのが蕎麦屋の始まりだったそうで、蕎麦屋と菓子屋はやはりきちんと縁があるのだと妙に納得しました。
形あるものはいずれ皆変化していきますが私の中にある変わらない風景をお蕎麦と料理で表現したいという思いから隆兵そばを開店いたしました。
隆兵そばで提供したいのは『日本料理』ではなく『日本の料理』です。
それは誰もが思い出よりももっと深い所に確かに持っている変わらない心の風景なのだと思います。

隆兵そばがある京都・桂に湧き出る井戸水は、村の人たちの言い伝えによると愛宕山水系の伏流水といわれており、春先から初夏にかけての水温が一番低い時期には十一度にもなります。
そんな山の恵みによって育まれたやさしくて丸い隆兵そばの井戸水は、半年に一度依頼する保健所の水質検査をすべてパスできる良質なお水です。
大自然の恵みに感謝しながら作るおそばとお料理はきっとお客様の心とからだをきれいにしてくれるものだと信じております。





隆兵そばでは、出来得る限り有機栽培や無農薬、減農薬野菜を使い、
京都、または京都近郊でとれた食材や関西近郊で醸された酒を提供できるように心がけております。
※最終日が定休日にあたる場合はその前日に実施いたします!