白子筍
第12回は、白子筍(シロコタケノコ)の紹介です。
市場やお店などあちらこちらで筍を見かけるようになると、春の訪れを実感します。京都では大枝・塚原産の筍が有名ですが、なかでも最高級品と言われているのが、まだ穂先が地面から顔を出す前に掘り上げる「白子筍」です。空気や光に触れていないので、アクやえぐみが少なく、真っ白で柔らかくとうもろこしのような甘みがあります。
京都に嫁ぐまでは、どんな風に炊いても少なからずアクを感じるのが筍だと思っていましたが、初めていただいた時はこんなに甘いのかと驚き感激しました。
○隆兵そばでは、お世話になっている千弥農園さんからいつもとびきりの白子筍を仕入れさせていただいています。
筍は成長が早いので、勝手ににょきにょき出てきたものを掘るのかと思っていましたが、間引いたり細かいところまで手入れをし、愛情を持って大事に「栽培」されたものでした。
春に立派な「白子筍」を掘るために、年間を通して土作りが行われます。
冬の間に落ち葉や藁などの有機物を敷き詰め、その上から土をかぶせていき、広い竹林はゴミひとつなくきれいに整地されます。重労働であるこの土作りを毎年するのとしないのとでは筍の出来が全然違ってくるそうです。
そして、春になると、まだ穂先が出ないうちに筍が土を押し上げてできる地面のひび割れを頼りに掘り出していきます。この収穫作業も大変重要で、今日掘らないといけない筍は、雨が降ろうが寒かろうがどんな天候でも絶対に今日掘り上げないといけないそうです。掘り頃のときに掘ってしまわないと、次の日にはもう穂先が地面から顔を出してしまいます。
そうして見極められて掘り出された筍は鮮度が命です。時間がたつほどアクがまわってしまうので、朝掘りの連絡が入ればすぐに仕入れに向かい、手をかけ大切に栽培された筍をできるだけ早く湯掻くことを心がけています。