2011.07.01
梶
第15回は、梶(カジ)です。
梶(カジ)は古代から神にささげる神木として尊ばれていました。また、和紙や布の材料にもなり、昔、紙が貴重だった時代は梶の葉の裏に墨をのせていました。
7月7日は七夕の節句です。現在では笹に飾りつけが行われますが、昔は梶の葉や枝が使われていました。平安時代の「後拾遺和歌集」には『天の川と渡る船の梶の葉に思ふ事をも書きつくるかな』と詠まれた歌があるように、七夕の日には、梶の葉に、里芋の葉に受けた清らかな露で墨を磨り、恋の願いを書きとどめて川に流すと、その梶の葉は船の楫(カジ)となり、天の川に届いて願いが叶えられるといわれていました。
また、万葉集には『我が背子(せこ)にうら恋ひ居(お)れば天の川夜船漕ぐなる梶の音(と)聞こゆ(あの方に恋い焦がれていると、天の川から、楫の音が聞こえてくるよ)』とあります。
その昔、京都では、七夕の前日には梶の葉売りが「カジー、カジー」と声高く洛中・洛外を歩き廻っていたそうです。