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2012.04.01

東京旅行

東京旅行

第24回は、東京旅行の風景です。

3月の代休を利用し、一泊二日で東京へ行ってまいりました。
ひとつの目的は、もう一度原点を見つめ直すべく、最近再び「おそば」に着目している主人のたっての希望で、東京の老舗中の老舗のお蕎麦屋さん巡りをするためです。もうひとつは長年の夢だった日本民藝館へ行くこと。

無い時間を縫うようにして予定を詰め込み、あわただしく新幹線へ。
私にとっては初めての東京の老舗そば屋めぐりです。主人とともに、長い歴史によって育まれた江戸の粋な食文化を肌で垣間見ることができました。
あるお店では、狭いテーブルで知らない方と相席し、特にお互いが干渉することもなくそれぞれが思い思いにお酒を飲み、お客様の出入りは止みません。それなのにやかましくなく、店には常に動きがあり、良い時間が流れ良い空気に包まれています。
行ったすべてのお店で酒の肴とお蕎麦を注文しました。どちらのお店も全体の雰囲気に味わいがあり、お料理やお蕎麦の「味」だけではなく「なんとなく」また行きたい気持ちにさせられます。
もともとおそばは今で言うファストフードで、くいっと呑んでつるっと食べてささっと店を後にするという姿が粋な江戸っ子というイメージでしたが、現代の女性が喫茶店で甘いケーキとコーヒーを飲んでちょっと一息つく、という感覚で、昔むかしの江戸っ子はおそばをつるっとひっかけて一息ついていたのかと思えば、おそばがもっと身近になったような気がしました。
常に最先端で目まぐるしくキラキラと動き続けている東京の姿も良いですが、今も昔も変わらず続いているもうひとつの確かな東京の姿に、しみじみと良さを感じました。

ただ、京都に戻り、桂の里で東京のお蕎麦屋さんと同じことをしても居心地がいいはずはありません。江戸のそば文化の良さを、どのようにして○隆兵そばらしく生かせるか。京都らしい、といっても四条通界隈のような雅な京都ではなく、碁盤の目から外れた桂らしい京都の風情で、○隆兵そばらしく居心地の良い店にしていきたいと改めて思いました。
外の景色を見に行ったことで、「なんとなく」というあいまいな部分こそが、最終的に人のこころを動かす絶対的なものなのだろうと確信できたように思います。

翌日は午前中に日本民藝館へ。
開催中の特別展「スリップウェアと西洋工芸」を観、月に4度ほどしか開館しない旧柳宗悦邸にも入館できました。
念願かなったこともあり期待に胸ふくらませて入館しましたが、まったく裏切られることなく、それどころか、やはり「良いものは良い!」と理屈抜きに感激しました。主人は終始うなされており、私は良いものを見てとても豊かな気持ちになりました。
ずっと見とれていたいという思いで民藝館を出た後は、最後の楽しみである江戸前寿司の昼食に浅草まで足をのばしました。
こちらのお寿司屋さんも、店全体に江戸前の粋な文化が空気のように流れていて、やはりその土地に自然に根付いているものの良さを感じて、心地良かったです。
女将さんである大将のお嬢様がまるでドラマのようなべっぴんさんで、おのぼりさんの私たちは思わず見とれてしまいました。

帰りの新幹線で読み返した民藝館のパンフレットに、スリップウェアに言及して記した柳宗悦の次の言葉が書かれていました。
「こう云うものを見ているとどこ迄も英国のいい性質が分る。だが美しいものは不思議である。一方にどこ迄も普遍的な素質が出ているからである。支那のいいもの日本のいいもの等に交えてみて、矛盾がない。登り道は違うが頂きでは皆おち逢っている。地方的にいいものは普遍的にもいい。此神秘が分ればそれでいいのだと思う。吾々は日本に活きようではないか。他の国々と頂上で逢う為に。」

工藝品に限らず、すべての「いいもの」における共通点が表わされているような気がしました。○隆兵そばもそのように、日本に、京都に活きられるように精進したいと思います。