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隆兵そば
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2016.10.12

美味必淡〜みょうみひったん

美味必淡は日本料理の職人さんが、親方や先輩から初めに教わるセンスの在り方です。

美味しいものは必ず淡い。その淡さの奥に美味しさはあるとも言えます。そして更に、淡さは薄さではない事も大切です。したがって、料理人は淡さと薄さの違いがわからないと料理の真髄はわからないということになります。

わたしは京都で蕎麦屋をやる以上はやはりこの感覚が大切だと思います。分かりやすいものはウケが良いですがすぐに飽きますし、結局のところ奥行きにかけるのでいろんな意味で薄いのです。味や香りが強いそばも同様で、口だけで食べる、口のみで感じることを美味しさの指標にするならば、そこに美という文字はつかえません。つまり、美味しいではなく「旨い」なら納得がいく気がしますね。もちろん、旨いがダメで、美味しいが上だなんて事を言いたいのではありません。

隆兵そばでは「旨い」ではなく「美味しい」をコンセプトにしておりますので、今のスタイルや味の方向性になっております。

正直、味や香りの強いそばは本当にどなたでも簡単に作れます。しかし淡い美味しさのそばを作るのは本当に難しく、しかしながらそこに挑戦していく事により腕やセンスも上がるのです。

俳句の世界においても、感情を直接的な言葉で言い切ってしまう句は下句とされます。旨い、不味い、嬉しい、悲しい、寂しい等、その言葉を用いずしてその感情を表現する。しかしながら、難しい言葉は出来るだけ避け、淡くて奥ゆかしい句。それが良い句とされるケースが多いです。もちろん、そうでない場合もありますが、日本人が本来良いなぁ〜としみじみ感じるのは俳句においてもインパクト勝負ではないということなのだと思います。

わたしは何においても、インパクトより、奥ゆかしさを感じようと思います。それが感じられる自分で在りたいと。そこには、舌だけではない文化の力があり、季節感があり、人間が人間たる所以があると思うからです。

そういうお蕎麦、そういう料理を目指しています。

はぁ〜、今回は何と直接的で品のない文章かと反省しております。