第二回 新蕎麦俳句大賞 結果発表
いよいよ寒さも厳しくなってまいりましたが、いかがおすごしでしょうか。
嵯峨野俳句会 才野主宰及び編集部の皆様による第二回新蕎麦俳句の審査が終わり、結果が手元に届きました。
今回は前回よりもかなり沢山の投句があり、嬉しい限りです。
ただ残念なことに、お名前や住所などの必要記載事項が欠けている作品もかなり多く、良い句ながら落選したものもありました。
また来年も募集いたしますので、記載漏れのないように、あらたに挑戦していただければと思います。
よろしくお願い致します。
さて、では結果発表です。才野先生による鑑賞文もそのまま載せさせていただきます。
主宰賞
新蕎麦を待つ時間さえ酒のアテ
兵庫県神戸市 Y.Iさん
日本文化の華の一つは「待つ」ことを楽しむところにもあります。物それ自体よりも、それを想像する楽しみを大事にするのです。俳句の季語にも「春を待つ」「秋を待つ」などがあるのも、その表れです。
美味しい新蕎麦の味を想像しているだけで心も満たされて、酒も進むと言うものでしょう。
編集部賞
新蕎麦で客の心を打ちにけり
大阪府四條畷市 K.Kさん
もちろん「打ちにけり」は「蕎麦を打つ」ということもかけているのでしょう。店主は蕎麦を打つことによって、客の心を打つ。そのことを「打ちにけり」と言う歯切れの良い表現によって表しています。
客をもてなす店主の心意気を賞賛している俳句です。
佳作
もてなしは美人女将と走り蕎麦
大阪府枚方市 K.Sさん
同じ作者の投句に、〈新蕎麦やイケメン亭主の京言葉〉がありました。でも編集部のメンバーは女将さんのファンが多いようで。
新蕎麦の香りが揺らす暖簾かな
兵庫県神戸市 K.Mさん
香りを含んだ風が暖簾を揺らしたのを端的に「香りが揺らす」としたのが新鮮です。新蕎麦の香りが人を呼んでいるようです。
新蕎麦も雨の離宮も別世界
北海道白老郡 J.Kさん
雨を嘆くことなく、雨をも積極的に楽しんでいこうという作者の気持ちが見て取れます。
「新蕎麦」「雨の離宮」それぞれの別世界を存分に楽しまれたことでしょう。
以上、受賞発表と鑑賞でした。
主催賞にはお食事券を、編集部賞には蕎麦茶サイダーを贈らせていただきます。到着までしばしお待ち下さいませ。
今回惜しくも入選されなかった皆様も、また来年にリベンジを!
皆さまの新蕎麦俳句に出会える事を今から楽しみにお待ちしております。
さて、だんだん慌ただしくなってまいりました。
店では年末に向けて発注などの確認作業に追われる毎日ですが、またこれも年末の風景として楽しみたいと思います。
搾りたての酒が届き始め、冷えた身体は粕汁で温めて無事に年を越せそうです。
粕汁は冬の季語。今年もわたくしの拙い句で締めくくりたいと思います。
それでは皆さま良いお年をお迎え下さいませ。来年もどうぞよろしくお願い致します!
粕汁の香り立つ夜のグラウンド 隆兵