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隆兵そば
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2012.08.01

そば味噌

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第28回は、そば味噌のお話です。

お酒を呑むためのアテとして、そば屋独特のものがあります。
赤味噌を、砂糖やしょうゆなどの調味料と合わせて焦がさないように只管に鍋で練り続けます。そこにそばの実を混ぜ、練りあげた味噌にプチプチサクっとした食感が加わります。そばの実が入ることで、そば屋の酒肴「そば味噌」の完成です。

第24回の散歩道で紹介しました東京旅行の折に、老舗のお蕎麦屋さんの「そば味噌」を買って帰りました。
そば味噌の一番の特徴は、使用する赤味噌です。
「この赤味噌は江戸甘味噌といい、江戸時代から愛好され、精選された米麹をたっぷりと大豆の1.5倍も使い、塩分は通常の辛味噌の約半分のため、特有のしっとりとした甘味と炊き込んだ大豆の旨味、香りが特徴である」と、お世話になっている郡司味噌漬物店さんが教えて下さいました。

江戸幕府を開いた徳川家康の出身地三河の八丁味噌と上方(京都)の白味噌のいいところを合わせて作られたこのお味噌は、たくさんの米麹を使うため第二次大戦では贅沢品とされ製造が禁止されてしまったそうです。残念なことに戦後、その統制が解除されるまでの長い年月の間にその味も忘れられてしまいますが、江戸のローカルな食文化や伝統の味を求める声に後押しされ、江戸甘味噌はその味が途絶えてしまう危機から逃れることができました。

〇隆兵そば特製の「そば味噌」は、江戸甘味噌とザラメ糖、しょうゆ、みりん、京七味を鍋でじっくり練り上げます。そして最後にそばの実をたっぷりと混ぜ込んでできあがり。
お味噌の甘さとコクのあるしょっぱさ、そこにかすかに七味のピリリが効き、そばの実のプチサクの音も加わります。ちょっとずつなめるようにいただくせいか、飽きることなくクセになってしまう味なのですね。
主人が毎日の晩酌に欲しくなるように、お酒が好きな方にはたまらない一品だと思います。

店では、日本酒にはそば味噌を小皿でお付けしております。
多くのお客様からお土産用のお声をいただき、この度お持ち帰りのご用意も整いました。
ちょうどよい頃合いに冷えた日本酒のお供に「そば味噌」はいかがでしょうか。シメには冷たいおそばをつるつるっと喉に通して、今年も暑い夏を乗り越えましょう!