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隆兵そば
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2013.11.01

自慢の井戸水

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第41回は、〇隆兵そば自慢の井戸水のお話です。

〇隆兵そばの要は何かという問いに答えるなら、それは「美味しい井戸水」です。
主人がどうしてもここを離れられない理由が、厨房の裏に掘った湧き出る井戸水にあります。
古の人々が都や神社などを造営する場所を選ぶ際に重要視したもののひとつは、良い水が出る場所かどうかという点でした。〇隆兵そばのすぐ北側には日本が世界に誇る桂離宮があります。元は宮家の別荘だったので、この辺りの水が良さそうであることは考えに及びますが、村の人の言い伝えによると愛宕山水系の伏流水だということです。
愛宕山といえば、世界一高品質の天然仕上げ砥石が採れる産地でした。〇隆兵そばの井戸水は、仕上げ砥石になるほどに細かい粒子の岩肌をゆっくり通って何百年という年月を経て濾過されてきた伏流水なのです。
飲料としてだけではなく、蛇口をひねって魚を洗う水も、野菜やお蕎麦を茹でたりお蕎麦をしめる時の氷水も、もちろんおだしをひく時もお茶を淹れる時も全部、井戸水です。
私は、主人の蕎麦は「香りは蕎麦、味は澄んだきれいな水のよう」だと感じています。それも自然の恵みからいただいている井戸水のせいでしょうか。

この井戸水の恩恵をあますところなく受けてきた〇隆兵そばですが、歴史や文化もふまえた上で、京都・桂のこの土地らしい料理を、と常に考えてきた主人が辿り着いたのが「井戸水」を最大限に生かすことでした。

年明けより、澄んだやわらかな井戸水をよりお客様に堪能していただけるように新たなコース料理を始めようと、いま主人は練りに練っているところです。

「水」に焦点を置くならばまず、ということで、休日に水の神様であられる龍神様が祀られてある貴船神社にお参りに行ってきました。
神社のホームページには「水は万物の命の源。生きとし生けるものが命をつなぐために片時もおろそかにすることができない大切な水の供給を司る水源の神なのである」と載せられています。
本宮、中宮、奥宮にお参りし、パワースポットだと言われているのが分かるほどに自分の肌がその神秘的な気を吸い込んでいました。
本宮ではもちろん御神水を頂戴しましたが、御神木が立派な桂の木なのです。
桂の木。〇隆兵そばは桂の地。
こんな小さなことでも妙に縁を感じるものですね。自分たちが来年から進む新しい道がまた楽しみになりました。

併せて主人が勉強をしているのは淡水の魚です。
海の魚には慣れていても、川の魚はそれとはまったく異なる独特のさばき方をするものもあるようで、休日には鰻を何度も何度もさばき、調理し、鯉も何度もさばき、琵琶湖周辺にもよく行きました。私は一般家庭でいまどきこんなに鯉をさわる主婦はいないだろうなあと思うほどに鯉のアラを炊いております。
店の隣には、こういった魚たちがストレスなく泳げるように、井戸水かけ流しの生け簀小屋を作りました。特に鯉は、餌を絶ってから仕入れて、うちに来てからも井戸水で泳がせているのでくさみが全くなく、あまくて、酢味噌も良いですがお醤油だけでいただいてもとても美味しいです。

来年からの新しい料理構成を、より多くのお客様に堪能していただけるよう、精一杯準備に励んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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