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2014.07.01

古代織

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先月の散歩道のお話に書かせていただいた米沢の原始布・古代織参考館「出羽の織座」から小包が届きました。暖簾のほかにもうひとつ注文していたものが先に仕上がってまいりました。

主人は「すべての本当に美しいものは『祈り』から生まれる」と仕事に向かう姿勢にいつも「祈り」の尊さを感じています。そういう姿を見てきているからかもしれませんが、原始布・古代織というその最たるものに触れ、心を揺さぶられるほど感銘を受けたので、微力ながら少しでも多くの方に知っていただけたらと思い、ここに紹介させていただきます。

届いた小包の中身は日本伝統織物である紙布、古文書で織られた帯です。この帯は、緯糸に古文書の和紙を、経糸には綿を使って織られたものです。点々と模様のように見えるものは墨の字です。ところどころ朱印の色も混じっています。「エコ」は今では聞き慣れた言葉ですが、日本人は古から物を大切にしてきたことが分かります。

IMG_4170冬の寒さから命を守るために山野に自生している樹皮や草皮を剥いで衣服とすることは、自分のために自然の「いのち」を奪う行為として理解していた古の人たち。北の山野には、そういった自然への感謝と敬虔な祈りから生まれた、苔むした青麻大権現碑や草木供養塔が見られるそうです。
先人たちの流した血と汗と涙と、「祈り」から生まれた糸を思うと、現代に生まれた私でさえ、自然とすべてのご縁に対する感謝の気持ちが溢れ「祈り」の尊さ、美しさを再認識しました。
厳冬厳冷の水の中で手の切れるような思いをされながら漉いた和紙は様々な用途を経て使用済みとなり、昔の本物の和紙は丈夫であったために、細く裂いてこよりにして糸を作り、織物として再び命を吹き込まれました。このすべて手作業による古文書の帯は、私にとって、ただの「オシャレ」としては到底身に付けられない、他人を思いやる気持ちを忘れないでいられるような身の引き締まるものとなりました。

米沢旅行の折には、温泉も米沢牛も良いですが、「出羽の織座」米澤民藝館も素晴らしいです!