2016.12.08
美味しいとは
私は長い間、「何が美味しいか」も大切ですが、「美味しいとは何か」を考えながら料理をしなければ意味がないと言い続けております。また、「美味しいとは何か」を答えられなければ深い味は出せないと思うのです。
何が美味しいかばかり考えてしまうと、結局のところブランド志向の料理になってしまいます。
例えば、枕崎のカツオは美味しい、となれば、枕崎のカツオさえ使えば間違いないと勘違いしてしまう危険が出てきてしまいます。
美味しいとは、ある程度の思い込みはあるにせよ、そんなものではないはずです。
美しい味と書いて美味しい。
美しいのは味ではなく、作り手、食べ手、双方の心の在り方ではないでしょうか。
作り手は心を尽くし、上から目線にならないように誠実に作り、手を抜かない。
食べ手は、批評ばかりせずに、先ずはその料理がここへ来た道に思いを馳せる。
大好きな作家さんの言葉に「京都は一定のクオリティーを挟み店と客が対等である」というのがあります。
お互いがお互いを尊重し、その場を良い空気で、満たす。
そんな美味しい店であり続けたいと思います。