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2017.01.07

俳句(後編)

新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

さて、新年を迎えましたが、俳句には新年という季節がございます。春夏秋冬と新年。歳時記も新年の項があり、もちろん季語も新年の季語ばかり載っております。
これは非常に面白いことですね。気持ちとしては春と言ってしまっても良さそうですが、あえて新年という季節を作るところが素晴らしいと思います。それだけで何か特別な気持ちになります。
最近は元日から営業の店が増えて、5日あたりになれば、全く日常と変わらない空気が流れている気がしますが、やはりお正月くらいはもう少し長く特別感を感じていたいですね。

ところで、特別感と散々言った後で申し訳ないのですが、私は俳句も料理もいかに究極に普通であるかが大切だと思うのです。もちろん普通の普通ではない、究極の普通です。まぁ俳句に関しては私は素人同然ですが、料理は一応プロとして仕事にしている訳ですが、とにかく究極の普通の追求に尽きるといつも思うのです。

いかに冒険しないか。いや、いかに冒険しないかという冒険をするか。冒険しない中でいかに冒険をするか。
この感じがゾクゾクするのです。

自分の外には未知の世界が広がっています。
それを見に行く事は素敵です。
と、同時に、自分の中にも その未知の世界が同じ数だけあると思うのです。
それも見に行く必要があると思うのです。
両方見ることでふたつの世界はどんどん広く深くなり、そこから生み出されるものは人に感動を与えると信じております。

ついつい外の世界ばかりを気にしてしまいがちです。珍しいものに気が行ってしまいがちです。また流行りのものにも惹かれがちです。

しかし、ずっと変わらない良さというものは何かということもしっかり見ていきたいのです。
そのセンスを養う為にも俳句は素晴らしい訓練になります。珍しい食材をあちこちから取り寄せることも悪くはないかもしれないですが、地元の野菜をいかに美味しく仕上げることが出来るか。和え衣や塩加減がいかにちょうど良いか。私はそのようなことにこそ深い感動を覚えるのです。俳句ならば斬新な言葉を並べるよりは、平明な言葉を使って深い句を作るのが理想といったところでしょうか。

大いなる普通。日本人はこの素晴らしい感覚を掘り下げることが出来る民族です。安易なブランド志向にならないように日々気を付けて生きていきたいと思う新年の幕開けです。

皆様も新年にあたり一句いかがですか?

クッキーの缶に仕舞ひしお年玉 隆兵