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隆兵そば
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2014.02.01

新しい始まり

20140201

第44回は、新しい始まりのお話です。

明治維新までの日本では太陰暦が使われていたため、一年のはじまりであるお正月は立春の頃にあったそうです。立春はまさに春のはじまる日です。昔は、春の始まりをもって一年が改められたということです。
今ではお正月と立春までには少し時間差がありますが、今でも馴染のあるお茶摘みの八十八夜や、台風がよくくるという二百十日、二百二十日という数字は立春の日から数えられたもので、季節を分ける「節分」は立春の前日と定められています。
節分で邪気を追い払ってこれから始まる一年の無病息災を願い、立春がきて新しい一年のはじまりを気持ちよく迎える。立春に、これからの一年間の目標を立てると良いそうです。

主人は、毎年毎年、そして日々、新しい発見への道筋を模索し探求していますが、今年の春はまた新しいことに踏み出しました。
その新しいことを習得するために、昨年の休日は鰻のさばき方を教えていただくために鰻屋さんに通っていました。まな板の上ではもう動かない魚とは違い、今までの感覚は全く役に立たなかったらしく、はじめのうちは随分と格闘していました。
その甲斐あって、〇隆兵そばでは鰻の飯蒸しを新しくはじめることができました。飯蒸しとはもち米を蒸しあげたもので、餅屋で育った主人にとっては、お客様に美味しい飯蒸しを召し上がっていただきたいという思い入れもこだわりも強く、店には欠かせない料理でした。
餅論(もちろん(笑))、もち米は最高のものが手に入る環境にあります。そのため、鰻の飯蒸しも簡単においしくできるだろうと考えていたようですが、食べ慣れている鰻丼の米ともち米とでは、鰻と一緒に食べた時にかなり違いがあることに気付いたようです。この違和感をなくすために鰻の仕上げ方を何度も何度もやり直し、ようやく今までの既成概念を取り払った、もち米に合う鰻の処理方法を編み出しました。
それによって、さらにもち米の美味しさが実感できるようになりました。
この主人の自信作、いまのところお召し上がりになられたお客様からは有難いことに大変お褒めのお言葉を頂戴しております。
鰻が絶滅してしまわないよう祈るばかり!
食の仕事に携わっていると、昨今の食品偽造問題は、提供する側の意識改革がよくクローズアップしてテレビなどで取り上げられていますが、提供される側もとにかく「安い」ということを求め「すぎて」はいないかと、どちらか一方だけの意識がもたらしたものではないと感じています。
乱獲による絶滅を食い止めるために、鰻を「とにかく安く」提供するものにしてはいけないと主人は考えているようです。

立春といえば、禅寺の門には立春の朝に「立春大吉」と書いた紙札が貼られます。
縦書きにすると左右対称になり縁起がいいということで、これから一年間の厄払いとされているそうです。毎年、〇隆兵そばでも、お世話になっている小浜の仏国寺さまからお札を頂戴し、玄関に貼っております。
今年の立春は2月4日ですが、改めて、遥々足を運んでくださるお客様にたくさん喜んでいただけるよう努力する!という目標を立てて、この一年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今回の写真は、家を整理したら出てきた、仏国寺の原田湛玄老師様が書かれた「立春大吉」です。