お月さま
第63回は、お月さまのお話です。
先月の中秋の名月は、多くの方がご覧になったことと思います。私たちは、桂大橋のたもとより美しく輝く大きなお月さまを見ました。
店より徒歩5分程度のところにある有名な桂離宮は、当時の貴族たちによってその「月」を愛でるための様々な仕掛けが施されて造られたお庭であることから分かるように、ここ桂は、古来より月の名所でございます。
お月見といえば、旧暦八月十五日の十五夜が中秋の名月として一般的ですが、旧暦九月十三日のお月見は十三夜と呼ばれ、十五夜に次いでお月さまが美しく見えると言われています。
そして、十五夜と十三夜のどちらか一方しか観ないことを「片月見(かたつきみ)」「片見月(かたみつき)」といい、縁起の良くないこととされてきました。
月は、太陽の「陽」と対になる、「陰」の象徴でした。
月の満ち欠けが日々の暮らしのなかで農作業や収穫の流れと密接に関わりあっていたことによって、「お月さま」は感謝や祈りを捧げる対象となり、「お陰さま」という考え方が生まれたのだそうです。私はこの「おかげさま」という精神は日本人らしいとても奥ゆかしいものだと感じています。
「自分が」成し遂げたという自己主張ではなく、「〇〇のおかげで」成し遂げられたという他者に対する感謝や慈悲の心を持てるということは、強くて美しいと思います。
昔の方々は、農作業の際に「どうぞ豊作でありますように」と祈り、秋が来て収穫の時期を迎えると「おかげさまで今年も無事に収穫できました」と、目に見えない他者に対して常に感謝の念を抱いてきました。
〇隆兵そばがこの地で商いをさせていただけていることも、有難いすべてのご縁のおかげさまです。これからも月の美しく見える桂離宮のそばの蕎麦屋を続けていけるよう精進致します。
先月27日の十五夜のお月見を楽しまれた方、十三夜は今月25日、日曜日です!是非、月の名所、桂へお出かけください。
澄んだやわらかい井戸水のおかげで出来上がる〇隆兵そばの蕎麦をお召し上がりになれば、お月さまがより一層輝いて見えるかもしれませんね!